金箔・純金梨子地・金粉 の魅力

金箔を施した部品はその直前と一変し、神々しく輝きを放ちます。この輝きは他には無い、人々の心を動かす不思議な力がありますね

 

金箔加工は、金箔を「おす」と、表現します。

おす(貼る)ための技術・材料はもちろんのこと、下準備も大切です。千代田屋自慢の漆塗りと金箔加工の流れ作業は職人同士の意見交換・打ち合わせが豊富におこなわれており、作業時間短縮や完成後の品質向上に非常に効果があります。金箔を貼るための材料もいろいろありますが、一番自信のある漆の使用をおすすめします。

金箔その物にも品質・コストの違いがあります。

伝統的な技法で製造された金箔は、金箔職人の秘伝の和紙を使用し薄く仕上がります。こうしてできた金箔は一枚一枚に表情があり、金箔にしかない奥ゆかしい表情があります。ここ名古屋ではその表情を活かした”おもおし”という技法を多く用います。

 

※コスト優先の作業を希望する場合は、漆を使わない合成塗料と製造行程を一部簡素化した”立切(たちきり)金箔”との組み合わせがあります。見積時に金額の差・耐用年数の差・表情の差などあります。長い年月を刻んでいく製品加工をする場合は伝統的な技法をおすすめします。


金箔を”おす”


金箔をおす。(おす=貼る)

金箔をおすには、きれいに漆が塗ってなくてはなりません。漆の塗装面の状態がそのまま金箔の表情に直結されます。金箔職人がどれだけ凄腕でも、漆塗りの下仕事が不可欠です。 

 

ここに紹介するのは漆が塗ってあることが前提になっています。

漆塗りのページを見ていない人は→漆塗りのページへ

漆が十分乾燥したのち、中塗り研ぎのように、するが炭で漆の表面を研いで、

平らな表面にします。

「どうずり」(堅い布に砥の粉をつけて表面を磨きます)をします。そこに擦り漆(漆を薄く表面にのばす)を2回します。それからもう一度擦り漆をして、その漆を「糊」がわりに金箔を置きます。

 

←この画像は漆を薄くのばしているところです

金箔を1枚ずつそっと並べていきます。

数時間後、重なったりした余分な金箔をはらい落とします。

室に入れて漆を乾燥させます。

純金梨子地の話

純金梨子地(じゅんきん なしじ)こちらは”金の粉”と言うより”金のつぶ”です。

 

これらを使った漆塗りページの「特殊な技法」をご覧ください

純金梨子地粉・・・金の細かい粒です。
サイズや形も色々あります。

用途に合わせ使い分けます。
この写真には、薬の包み紙のように包装してあります。
クシャミをしたら、飛散して回収不能ですね。
これらは、”金の相場”と同じように、日々価格変動しています。

 

梨子地材料は表面に施すよりも、漆塗りの過程で使用し、「変り塗」の材料になることが多いです。漆の中に沈みますので、コストが高額な純金梨子地は別注品に用いられ、通常流通しているものは安価な「錫梨子地」粉が

使われます。「錫」は酸化が進むと黒く変色してしまうので、残念です。

 

当店の受注量は「錫」よりも「純金梨子地」仕様が数倍多いです。

金粉の話

金粉(きんぷん)の製造する行程は部外者にはわかりません。製造者の極秘技術があるそうです。

金粉その物にも品質・コストの違いがあります。
金粉の細かさ、形状・色合い・・・
純金なのか?・金色なのか?


この画像の左に写っているのは紛れもなく純金粉です。
ですが、キッチンに在ったとしたら・・・
腐った小麦粉?と思ってしまいそうな輝きのない黄土色ですね。そして皆様は・・「金粉を塗る」とよく話しますが、液体ではなく粉ですし、化粧品ではありませんので、私たちは「金粉をまく」と表現します。

 

行程はここでは記載しません 。この行程は各職人秘伝の技法だからです。
金箔との違いを感じてください。

仏壇の扉に施した金箔です。
漆糊を使用して”おし”てあります。金箔の模様が分かっていただけますでしょうか?

金粉仕上げ

漆糊を使用して金粉を”まいて”あります。
金箔のように模様はなく、輝きもありません
なので反射もぼんやりとした光を反射し、落ち着いた雰囲気を醸します。

 

金箔仕様よりも金粉仕様のほうが同じ面積を加工する場合でも材料費が多く必要です。よって輝きの派手さはなく加工費用がかかるため、金箔・金粉をよく理解しこだわりの場所に施します。