私どもの工房は、漆塗りと金箔貼り担当ですが、数名の仏師と連携を取り修復作業のお手伝いをさせていただいています。 仏像の修復はとても繊細な作業になります。さらに、作業を引き受けた後も、施主様との確認作業が必要です。ホコリを落とす程度の部分修理から、新品当時の状態に戻すような修復は見違えるような状態になります。
新品のような状態に戻すことが良い場合と、残念な場合があります。それを見極めて提案するのが私達の仕事です。
下記は仏像の修復依頼時の作業経過の画像です。
初めのオーダーは・・・
長年の間に黒く埃が固まってしまったので、「黒色漆で塗り直して欲しい」と・・
洗浄を続けると繊細な表情と彩色の痕跡・・・
これを黒く塗ってしまっては、もったいないので、再度、打ち合わせ。
新品当時は極彩色(白く塗った状態にしてから彩色をする)でしたが今回は彫刻を今まで以上に感じていただくために木地修正をし、淡彩色(木地に直接彩色を行います)で仕上げました。(少しだけ”古い感じ”を演出)施主様から「昔はこんな状態だったですね!」と、大変喜んでいただきました。
下記の画像は仏像3体は塗装剥離を丁寧に行い、木地の状態にします。
再度伝統的な技法により下地、漆塗り・金箔・金粉作業を行いました。
台座は傷んでいる箇所を修復。作業経費を苦慮し旧塗装を再利用した技法にて作業を進めました。
下記の画像は本尊はほこり落とし、と部品の接着。
台座は、ネズミにかじられ、金具・部品や彫刻が欠損していました。
塗装剥離を丁寧に行い、伝統的な技法で漆塗り・金箔加工を行いました。
更に彩色と金メッキ(赤丹入り)金具を取り付けて完成です。
下記は雨漏りやネズミにより傷んだ箇所の修復です。 長年おまつりしてきた歴史を感じるよう当時の加飾をできる限り保存しました。膝の上などに溜まった頑固な汚れなど丁寧な汚れの除去、部分的に下地を直し、彩色を加筆しました。ビフォー・アフター的に並べてみました。
長い年月の経過を消さないよう、古代色仕上げとなってます。