漆の刷毛も鉛筆と同じように本体は木製です。その中に髪の毛が上から下まで通っています(半分の場合もあります)。このようにできているため、毛先が傷んできたら、削り直してまた新品のようになります。短くなりますけどね(*^^*)。この髪の毛がきれいになれんでいるかどうか?で漆塗りの仕上がりも影響されます。きれいに切り落とすことも大事ですが、刷毛本来の完成度も重要なのです。そして刷毛を制作する職人さんの腕前次第で刷毛の金額も変わってきます。
漆を塗るための「刷毛」この毛の材料は何でしょうか?
小学生の子どもたちが、工房見学に来た時によくこの問題をだします。
馬や動物の毛という、回答が多いですが・・・答えは人間のパーマをあてていないストレートヘアです。
子どもたちの驚き方がいつも楽しみです!
結構インパクトあるみたいですね。
馬の毛も人毛をサポートするよう組み合わせて使用しています。
手に持っているのは・・・・
下地をする時に使用する「木へら」です。
檜材料の中でも・・・節が無く、年輪の模様がきれいに見え、育ちの良い材料でないと「へら」にはなりません。 これらを「カンナ」と「塗師屋小刀」で削り、用途に合わせ、自分の好みのしなり(硬さ)に削っていきます。
[膠]
動物の骨や革などで作り出す接着剤の役目をする素材です。粒状や粉末状で購入します。
水に浸し温めると溶けて水飴のようになります。(写真の状態)接着剤として使うこともありますし、これらと”砥の粉”を調合して下地材となります。漆塗りの仕上げを左右する重要な材料になります。
小学生など工房見学のときにこの製造方法(動物の骨を利用するクダリで)を話します。
皆様の想像通り・・かなり引きます(^o^;)
黒漆を塗り表面を研いだ後、すり漆をして
乾燥する前に金箔の粉をまきます
すり漆が、乾燥した後梨子地漆(紅茶のように薄茶色で透けている漆)
を上から塗ります。
完成品は漆独特のきれいな表面と共に
その奥で金箔が透けて見えます。
上記の完成とにていますが、この技法は細かい金の粒が漆の中に入ります。こちらは金の粒が立体ですので漆の奥底に沈んだ場所と表面に浮いた金に濃淡があり、表面に出た金が輝きます。
完成品は漆独特のきれいな表面と共に金の存在感が有ります(金の粒のサイズにより表情が違います)
ここには2種類の技法が使われています
天板は大きめの黒蝶貝が敷詰められています。
拡大写真で見るとわかりますが、朱色の部品の下の部品は
細かい貝の粉が本金梨子地塗りのように漆の表面の中にあります。
青貝粉を漆塗り行程の途中で蒔き、一旦漆の中に沈めるその後、磨き行程で、漆塗装面を削るように研磨し、艶を出すのと同時にこうして光り輝く螺鈿の粉も見えてきます
漆を塗ることから始まった当社。初代から技術を受け継ぎさらに精度を上げてきました。
知識 経験ともに豊富です。室内利用のお仏壇や寺院仏具は膠下地(にかわしたじ)という技法をよく使用します。最近ではコストダウンのため工法は増えましたが、ここでは伝統的な技法のうち、屋外利用に適した技法の堅地下地があります。 この方法での作業行程を下記にてご覧下さい。
漆と米糊を練り合わる・・・これが布を貼るときのボンドの役割をします
こちらはからくり人形の台です。 これからこの木地に布を貼っていきます
布貼り
はみ出ている布は切り落とします
布貼り、完成
漆と「地の粉」を練り合わせた物(地の粉さび)を
木べらで平らになるようにつける
「地の粉」さびつけ、完成
養生期間約10日 乾燥したら砥石で研ぎます
研ぎ、完成
漆と「砥の粉」を練り合わせた物(本さび)を木べらで平らになるようにつける
※地の粉=粒子が粗く肉持ちがいい
※砥の粉=粒子が細かく仕上がり時の表面肌がきれいになります
上記の作業を2回繰り返します
本さび付け、完成
砥石で表面が平らになるよう研ぎます
研ぎ、完成
表面をペーパーでならした後、漆を塗ります
ちょっと、汚らしく漆がタレていますが・・・
漆の粘度が伝わるよう少々派手に演出中(^_^;)
こちらは朱漆です
うるしを塗ったら、室(むろ)にて乾燥させる
※ 室(むろ)・・・漆は日々の天候によって乾燥速度が違います。適度な乾燥をするように、環境(湿度・温度)を管理した部屋です
余談ですが、洗濯物がよく乾く乾燥した空間より雨天の”湿気の多い日”の方がよく乾きます。
不思議ですよね(*_*)
1回目の漆塗り完成
中塗り研ぎ 漆の表面をするが炭で、平らに研ぐ
中塗り研ぎ、完成
2回目の漆塗り こうして塗り重ねて完成していきます
水平に置いて乾かすのが理想なので、漆塗りの基本は一日に1面塗りです。